スオスダイ!スースダイ!
NyoNyumインターンのせいしろうです。
インターン日記の新コーナー「せいしろうのインタビュー」のはじまりはじまり!
カンボジアで活躍、挑戦しているボンのお話を皆さんにお伝えします!
今回インタビューを受けてくれたのは、プノンペンに忽然と現れた不思議な屋台のご主人:坂根さん。
奇抜な取り組みの狙いと、これからの展望を聞いてきました。
本当はおもしろ風の企画ですが、今回の文章はスナックのような大人の雰囲気で書きました。
本編
12月中旬のある木曜日の夜10時前、独立記念塔の近くに「営業中」と書かれた赤ちょうちんのぶら下がった屋台があった。立ち飲み客はワンカップの日本酒を持っている。
プノンペンに「日本の屋台」がきたのだ。
そのグランドオープンの一部始終を見てきた。
午後7時前、落ち着いた雰囲気のあるボンケンコンの路地裏にテカテカ光る銀色の台車が現れた。屋台の主人:坂根千里(さかね・ちさと)さんが準備をしていた。
準備が終わると屋台は動き出した。安全のために赤ちょうちんは点灯させたままである。
特注の屋台は、折り畳みのできる屋根を持っている。この屋根の骨組みと路面状況が相まってすごい音を立てながら進む。カンボジアの人々はガタガタ進む赤ちょうちん号を見て「なんだあれは!」という顔をした。
日本では副業としてチーママをしていたという坂根さん。プノンペンに来てからも本業の合間に週末限定でスナックを開いている。
この屋台は「出張スナック」なのだ。
プノンペンの夜景がきらびやかできれいだったので、これを見ながらの飲みニケーションはさぞ楽しいだろうというママの妄想からスナックは動き始めたという。
独立記念塔それ自体はラウンドアバウト(ぐるぐる回るドーナツ形の交差点)の中央にあるため立ち入ることはできない。独立記念塔の横にある公園の端でのれんをあげた。
日本酒とビール、おつまみとおでんをふるまう日本の屋台は、プノンペンのシンボルを背に赤いちょうちんをピカピカし、手作りのれんをバタバタしている。
「都心で仕事を終えて、寝るためだけに郊外に帰る。そこはただベッドだけがあるだけで、隣人の名前はもちろん知らない。」
そんな日本の郊外を変えたいと思った坂根さんは、「小さなきっかけが生むコミュニケーション」をテーマに、いろいろな活動を行ってきた。
プノンペンに来て、屋台をきっかけに店主と客の間にコミュニケーションが生まれる風景に感動し、屋台を決めたという。
「少ししょっぱいかもしれない」というおでんをコトコトやっていると、公園の利用者が物珍しそうに話しかけてきた。小さい女の子が「はんぺん」を試食したが想像と違ったらしい。
「私がカンボジア料理を出すとそれはニセモノ。私が出せるのは日本のモノしかない。もちろん日本酒が大好きだからでもある」と微笑む。
出張スナックを「ローカルと旅行者のための、コミュニティーづくりの仕掛け」にしたいという。
ローカルな人がより踏み込んだ情報交換をし、地域を深く知りもっと好きになっていく。旅行者に対してディープなローカルスポット情報を提供する。旅人のもってくる全く新しい情報を知る。
移動スナックはそういう「人と人をつなげる場所」になる可能性がある。
グランドオープニングのこの日は、15人ほどの客が集まり、ささやかなパーティーという雰囲気だった。プノンペン在住の会社員、古着販売を展開する会社の社員、バーのカンボジア人オーナー、インターンの学生といろいろな人が談笑していた。
この屋台は「開かれつつもアットホームな場所」になっていく必要があるという。
生活のための場所に旅人は訪れず、観光のための場所に地元の人は通わない。そこで出会っても交流は生まれにくい。
プノンペンの生活風景に溶け込みつつも、ランドマーク的な魅力を生み出していく。そのためにコミュニティーの活性化を狙ったコラボレーションを画策しているという。
あることをきっかけにコミュニケーションが生まれ、そこから広がったコミュニティーのメンバーがコラボレーションすることで、さらなる交流のきっかけを生む。坂根さんはこの一連のプロセスを「まちであそぶ」と呼んでいる。
「自分が楽しんで、周りも一緒に楽しむ」
この体験がコミュニティーを活性化し、「住んで楽しい町」をつくる。
プノンペンでも「まちであそぶ」つもりだという。
今後この屋台と屋台がつくるコミュニティーは何をするのだろうか。いろいろと妄想しているといって、魅惑的なプノンペンのママは子供のような笑みを浮かべた。
免責事項
・外国人による屋台等の営業を禁止するカンボジアの法律について
2019年12月現在においては法律が停止された(効力が一定期間無効となっている)という見方がされている、2019年8月に施行された「外国人就業規制」に関する法律について、坂根さんは法律家に確認し「違法性がない」と判断したうえで屋台の営業を行っています。また、本記事は該当する法律の失効、およびこの屋台の合法性を保証するものではありません。
・本記事の目的について
この記事の目的は、カンボジアで起きている出来事の背景を著者の表現を交えて紹介することであり、これらの活動を推奨、評価するものではありません。
・本記事の提供する情報の利用について
本記事が提供する情報の利用に関して、いかなるトラブルが発生した場合であっても、利用者の自己責任によって利用されるものであることに鑑み、弊社および題材となっている組織および個人は、損害賠償その他一切の責任を負担致しません。
インタビューの感想
生まれて初めて、おなじ話を何回も聞きました。飽きるかと思いきやそのたびに発見があって、どんどん面白くなっていきます。
と、久しぶりにバックトゥザフューチャーを観て気づきました。
そこからインタビューを記事にまとめました。
もう少し繰り返し聞いていたら、ぱかっとタマゴが割れるような爽快なひらめきがありそうな具合ですが、記事としてはいったんここで区切ることになりました。
何度も繰り返すことが大事な気がしてきたからかもしれません。締め切りが来たからかもしれません。
インタビューをひと通り体験して思ったことは「なんだか楽しいな」ということでした。
初心者のインタビューを快く引き受けてくださった坂根さんをはじめ、協力していただいた多くの皆様、ありがとうございます。
今後とも、インターン日記とせいしろうをよろしくお願いします。
屋台について
毎週木曜日の夜、プノンペンのどこかしらの街角を背景にした屋台が、どこかしらの街角でのんびりやっています。
ランドマーク近くで営業中の赤ちょうちんをピカピカしている屋台があったら勇気をもってのれんをくぐってみてください。
赤ちょうちんの柔らかい光に包まれた、ちょっとディープであったかいコミュニティーが待っています。
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8 ビザをもらいにホーチミンに行ってきた
9 カーロッシーのキァさんに会ってきた
10 メコン川の向こうの田舎に行ってみた
11 2019水祭りをちょっと歩いてみた
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