2003年のNyoNyum創刊当初から連載している「ボンユキエッセイ」。
カンボジアに長年住むと街の移り変わりが見えてくる。
おもしろくもあり、どこかもどかしくもある。
通訳、翻訳、会社経営に奮闘中のボンユキこと山崎幸恵がおくるカンボジアあれこれ。
今回は、どんなお話なのでしょうか。
ニョニュム20年を振り返ってみよう!Part2
2023年はニョニュムが20周年を迎える年。前号につづき、この20年、私たちが何を見てきたのかを振り返ってみます。今回はPart2として、2008~2012年です。
カンボジアの社会・経済の発展に合わせて、ゆっくり、ゆっくり動き出したニョニュム。5年を越えて、ようやく「徐行運転」し始めました。古いものと新しいものが混在しているような。ショッピングセンターみたいな建物が建つその周りに、露天の市場が広がる。進もうという動きに対して、人が追いついていかない、そんな感じでしょうか。
ニョニュムはといえば、スタッフもだいぶノウハウを心得てきました。企画は相変わらず日本人中心に生み出していましたが、地方への取材出張はみんな持ち回りで担当していました。この頃の地方出張はまだ道路インフラの状況が悪く、バッタンバンも車で12時間はかかっていたのではないでしょうか。でも、行く先々に発見があり、「伝えたい」という思いは強いものがありました。
プレァヴィヒア遺跡が世界遺産に登録され、ニョニュムスタッフもすぐさま特集を組みました。まだインフラも整っていない遺跡に実際に行って、カンボジアからよりもタイからのアクセスが楽だと実感しながらも、カンボジアの遺跡の素晴らしさに魅了されました。そして、そのあとタイとの間でプレァヴィヒア遺跡を巡る戦闘が起きて呆然としたのを覚えています。豚インフルエンザなるものが発生し、リーマンショックが起きた、そんな5年間でした。
カンボジアへの投資は日進月歩。世界情勢に大きく左右されながらも、それでも2010年頃から私の通訳の舞台も「援助」から「人の交流」「ビジネス」に変わっていく。日本への出張が多くなり、並行してコンポンチュナンで陶芸のプロジェクトを始めてしまったものだから、必然的にニョニュムスタッフはボンユキ不在でどうにか雑誌を作らなければなりませんでした。それはある意味、いい環境だったのかもしれません。
とにかくこの頃の私は仕事で走り回っていました。通訳をしながらカンボジアの様々な分野のことを知
り、それを持ち帰って企画にして深掘りしたり、陶器を売る場所を作らなきゃ!と「NyoNyum Shop」
をスタートさせたり。そんなスタッフと私の二人三脚で会社は動いていました。時々、その結んでいる
紐がほどけることもあったけど、どうにか紐は切れずに結び直して、そして再び前に進みました。
そういえば「もう、あまりあちこちに行かないでください。ボーン(お姉さん)が動くと、どんどん仕
事が増えて、私たち、追いつきません~~~」なんて悲鳴も聞こえていたっけな(笑)。(次号へつづく)
Cambodia Joho Service 代表
/日本カンボジア通訳翻訳家
神奈川県出身。在カンボジア歴、足掛け28年。
翻訳、通訳のほかカンボジア関連のアレンジやコーディネートを手がけることも。
仕事に追われつつも、大好きなビールは絶対に欠かさない。
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