(日本語) 田舎の日本語教室を見学してきた【インターン日記シーズン4⑰】
(日本語) 田舎の日本語教室を見学してきた【インターン日記シーズン4⑰】
2020.02.29

スオスダイ!スースダイ!
NyoNyumでインターンのせいしろうです。(前回の記事はこちら)

先日、王立プノンペン大学日本語学科の学生が、プレイヴェン州にある2つの高校で行っている日本語教室に行きました。今回は、そのうちの1つの教室についてレポートします。

日本語教室について

日本語を教える先生
日本語を教えている教室の様子 教室に電気はありません

そもそも、この取り組みは何でしょうか?

王立プノンペン大学(以下:Royal University of Phnom Penhを略して「RUPP」と表記)日本語学科の学生が講師をしている日本語教室は、11月から7月までの毎週土曜日にプレイヴェン州とコッコン州の高校で行われています。

講師の学生は、日本語教育について研究している3年生か4年生です。

今回同行したプレイヴェン州を担当する講師は11人で、2つの高校に分かれて指導しています。

授業は中高生を対象に、午後1時から5時までのおよそ4時間あり、「学ぼうにほんご」というテキストを使って行われています。

移動にかかる費用などの支援はMekong Cambodia Japan Organization(MCJO)という団体が支援しています。

移動が大変

バンに乗り込む先生たち
バンに乗り込む先生たち オレンジのお坊さんはときどき日本語をしゃべる

朝8時にRUPP近くにて集合し、3時間ほどバンに乗って1つ目の学校:カンボジア日本友好学園(以下:友好学園)に到着しました。

私はここでバンを降りましたが、もう一つの高校はもう1時間ほど先にあるということです。

友好学園には11時頃につきました。授業が始まるのは1時なので、先生は2時間ほど待ちます。

待つ間に昼食を取り、授業範囲を確認し、教科書を読みと準備をしていました。

友好学園について

友好学園の正門
友好学園の正門

ところで、この友好学園はよく知られている学校ということです。

友好学園は、カンボジア教育支援基金と佐賀県のNGO団体:フロム佐賀が1999年に設立した学校です。

日本政府が建てたネアックルーン橋:通称「つばさ橋」を渡って少しのところにある官民共同運営の学校です。

カンボジア教育支援基金は、内戦時代にインドシナ難民として日本に移住した報道記者のコン・ボーンさんが日本で設立した団体です。

また、コン・ボーンさんは自身の内戦中の体験を描いた著書:「殺戮荒野からの生還」の著者でもあります。

友好学園の建物
友好学園の教室がある建物

友好学園では、フットサルコート、バレーボールコート、バスケットボールコート、2階建ての校舎、図書館など充実した施設を利用して、中学生と高校生を合わせて1800人の生徒が、およそ50人の教師と勉強に励んでいます。

官民共同事業として、教師には基本給の他に支援団体から給与が支給されるので、授業は多くの学校のように半日ではなく、一日中行なわれています。

また、敷地内に食品加工工場があります。これは徳島商業高校の学生と共同して行っている製品開発プロジェクトの一環として2017年に建てられました。

学校の様子

校内を歩き回る牛
校内を歩き回る牛 ときどきモーとなく

校内のいたるところにゴミ箱があり、花が植えられていたり、とてもきれい。なぜか牛も徘徊しているのどかな学校でした。

教室は主に1階建てで、1つだけ大きな2階建ての教室がありました。

プノンペン市内の学校と比べると大きな差を感じますが、聞くところによると、そもそも教室が足りず外で勉強する学校も多いカンボジア、友好学園はかなり立派だということです。

中庭と二階建ての建物
中庭と二階建ての建物 手前の灰色の鍋はごみ入れ

中庭には日陰をつくるための巨木が植わっています。この中庭はバイク駐輪場として使われるようです。

授業の様子

「一」の漢字を説明する先生

業は平仮名と片仮名の書き取りテストから始まりました。生徒は一生懸命に「あいうえお」の表をローマ字表の並び(「縦書き右上はじめ」ではなく「横書き左上はじめ」)で書いていました。

50音表を書いた紙を回収したあとは、1から100までを一斉にとなえます。声の大きな生徒が言うのにつられて、途中怪しいところもありましたが、全員が声を出して数えていました。

先生は数えながら、今日教える言葉を黒板に書いています。なかなかのやり手です。

生徒のノート
生徒のノート

生徒も、先生がクメール語で言葉の意味を説明している間に、せっせとノートに写します。大変まじめです。

この日は初めて漢字を教えるということで、内容は「一(いち)」と「二(に)」でした。

しかし、やり手の先生は教科書が例として挙げた熟語をすべて紹介するので、「同」、「日」、「月」、「回」、「番」なども一緒に教わっていました。

説明が終わると、みんなで先生が読むのに合わせて復唱します。私も「ひとつ、いちにち、ひとつき・・・」というのを一緒にやりました。

先生の話

先生のソコールさん
先生のソコールさん プノンペン大学の4年生

先生の一人で、上級コースを教えるチム・ソーコルさんにお話を聞きました。

活動に参加したきっかけは何でしたか?

私は、2019年の11月、4年生に進級してすぐにボランティアを始めました。

3年生のときに地元の後輩たちに日本語を教えたのがとても楽しかったので参加したいと思いました。

大変なことはありますか?

週に1回ある4時間ほどの授業で語彙、文法、会話、練習を全部指導するのはとても大変です。スムーズに授業を進められるように、しっかりと下調べや予習をしています。

しかし、もっと大変なのは「むずかしい言葉を」説明することです。カンボジアに広まっていないスポーツやゲームの名前は説明が大変です。

楽しいことはありますか?

クラスのみんながしっかり課題をやってきて、上手になっていくので教えるのが楽しいです。黒板に文字を書くのも好きです。

このボランティアは大変だけどそれ以上に楽しいです。教えるのが好きですから。

大学生活はどんな様子ですか?

今、大学では「日本語の会話授業における教材開発」をテーマに卒業論文を書いています。

研究をする合間に日本へ留学するための準備をしています。奨学金を貰えることが決まり、今年の10月から東京の学校に留学することになりました。

日本留学中に大学院を受験し、合格すれば日本の大学院にそのまま通えることになっているので頑張ります。

将来は何をしたいですか?

将来は、日本で働きたいです。もしも日本で働けなかったら、カンボジアで日本語の先生をしたいです。

参加して思ったこと

ノートを斜めにして書く子供
ノートがおもいきり斜めになっている

学生もみんなまじめで、熱心に説明を聞き、しっかり質問をしていました。

私は通常の授業の様子を知りませんが、先生が大学生ということもあってか、とても和やかな雰囲気だったように思いました。

驚いたことに、ノートを体に対して斜め向きになるように置いて日本語を書いている生徒が多くいました。

ノートに合わせて首も傾けています。そして、丁寧にきれいな字を書いています。

アラビア語圏の人はノートを斜めにして書くらしいと聞いたことがあったので、グーグルを眺めていたらどうやらインド人もそんな風に見えました。もしかしたら斜めが一般的なのかもしれません。

これまでのインターン日記一覧

1  新シーズンのはじまりと家さがし
2  プノンペン大学CJCCの秋祭りで初取材?
3  カンボジアインターンのランチ事情
4  インターンの休日!シンガポール編
5  プチュンバン前半!寂しいプノンペン
6  はじめてのアンコールワット
7  ショッピング情報?陶器と自転車編
8  ビザをもらいにホーチミンに行ってきた!
9  カーロッシーのキァさんに会ってきた
10 メコン川の向こうの田舎に行ってみた
11 2019水祭りをちょっと歩いてみた
12 NyoNyumインターンの仕事内容?
13 謎のもつ煮とニャムニャムおばあさん
14 新企画!スナック屋台のママがこの町を変える
15 お仕事とお仕事観の変化の振り返り
16 すごい食事について

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