シェムリアップの新しい足「Cambodia Ride」が誕生！

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2023.11.22

シェムリアップ

10月16日に新空港が開港するシェムリアップに、新たなモビリティサービスであるタクシー等配車アプリ「Cambodia Ride」が誕生した。

カンボジアではGrabやPassAppなどの配車アプリが普及しているが、 Cambodia Rideの特徴は何といっても配車アプリサービスで唯一、シェムリアップ空港内から乗車することができることだ。これはシェムリアップの観光タクシー協会（TTA ; Tourist Transportation Association For Siem Reap International Airport）との提携により実現した。また、 3ヵ月先までの事前予約機能や市内・遺跡観光用に便利な時間貸し機能も付いており、日本語を含む 26ヵ国の言語に対応している点も他のアプリとの差別化になっている。さらには、女性観光客に安心の女性ドライバーを選択※できるサービスは、業界初だそうだ（※リモークに限る）。

また、ホテルや旅行代理店がゲストのために配車をオーダー可能な BtoB 配車システムも整備されており、観光事業者にとってもモビリティサービスの利便性が一気に向上しそうだ。この Cambodia Ride に携わるTTA ドライバー、女性ドライバー、ホテル事業者に実際に話を聞いてみた。

空港内から乗車ができてとっても便利！

事前予約ができるから安心安全！

パープルとピンクのかわいいロゴが目印！

観光タクシー協会（TTA）ドライバーアマタックさんに聞いてみた！

自己紹介と、TTA について教えてください

シェムリアップ生まれの44歳、2児の父です。学生時代に買ったバイク「ホンダドリーム」に外国人観光客を乗せたことがきっかけで、これが天職だと思い 18年前からプロのタクシードライバーをやっています。TTAには 2008 年に加入しました。TTA はシェムリアップ空港からお客様にタクシーへ乗車していただけるよう設立された組合です。現在330名のドライバーが所属しています。TTAメンバーのみがタクシードライバーとして空港内で客待ちができます。

Cambodia Ride を実際に使ってみていかがですか？

スマホ Wi-Fiもない時代は、空港カウンターで観光客に声をかけ乗車してもらっていましたが、今はスマホの時代です。Cambodia Ride は事前予約もでき、多くの外国人観光客にとって大変便利なサービスだと思います。アプリは慣れると簡単で、すごく使いやすいですね。

これから Cambodia Ride に期待するところを教えてください。

お客様との接点のメインが空港カウンターであった私たちにとって、Cambodia Ride を通じてホテルや旅行代理店からもオーダーを受ける機会が増えることは、大変ありがたいです。またシステムは日本企業が運用しており安心して使うことができます。我々 TTA ドライバーは、お客様により安心して利用してもらえるようサービスの質を高め、Cambodia Ride と一緒にシェムリアップ観光を盛り上げていきたいと考えています。

女性リモークドライバーのグループリーダー、ソモンタさんに聞いてみた！

自己紹介と、女性リモークドライバーグループについて教えてください。

私は3人の子供を育てるシングルマザーです。世界中から観光客が集まるシェムリアップで観光業に就きたいと考え、リモークドライバーの仕事に就きました。3年前からは同じ女性ドライバー仲間と共同で女性リモークドライバーグループを立ち上げました。私たちのグループの特徴は団結力です。多くの仕事を受注し、それをグループ内で分担し合うことでお互いをサポートしています。

Cambodia Ride に対する思いを聞かせてください。

私たちのグループでは、女性が自立し、強くなり、他人に頼らずに生きていけるよう、さらに多くの女性ドライバーを採用し育てていくことを計画しています。女性でも安定的な収入を得て、家族を支えていけるという自信を多くの女性に持ってほしいと思います。Cambodia Ride が世界中から多くの観光客を歓迎し、結果として私たちのグループにも多くの就業機会が提供されることを期待します。世界中の人に質の高い交通サービスを提供することに誇りを感じています。

ホテル経営者、ジェニーさんに聞いてみた！

Angkor Style Resort & Spaオーナーのジェニーさん。シェムリアップのホテル業界では超有名人だ

自己紹介と、ジェニーさんのホテルについて教えてください。

Angkor Style Resort & Spaというホテルを経営しています。4人の子供を育てるシングルマザーで、12名の従業員を支えるオーナーでもあります。カンボジアホテル協会の副会長も務めており、また経営者ネットワークBNI Cambodiaにも所属しています。AngkorStyle Resort & Spaは33室を有する高級ホテルで、コロナ過前は宿泊客の9割以上が外国人、特に欧州からのお客様を多くお迎えしています。

初めてCambodia Rideを紹介されたとき、どのような印象を持たれましたか？

シェムリアップを訪れる観光客にとって、初めて出会うカンボジア人がタクシードライバーであるケースは多いです。タクシーの値段交渉がトラブルに発展した例もあり、観光業に従事する者として心を痛めたこともありました。Cambodia Ride では料金が明快になっているため交渉やそれに伴うトラブルをなくし、観光客にとっての安全・安心が考えられたサービスになっていることは大変素晴らしいコンセプトだと思いました。日本企業が技術支援をしていることも Cambodia Ride を導入した大きな決め手です。

これから Cambodia Ride に期待することを聞かせてください。

シェムリアップ新空港開港に伴い、ホテル事業者にとっては空港送迎がますます重要になります。また女性経営者として、女性ドライバーの就労支援を積極的に行う Cambodia Ride には心から感謝したいと思います。Cambodia Ride を広く知ってもらい、シェムリアップの観光を発展させるため、カンボジアホテル協会メンバーにも周知していきます。

この Cambodia Ride、実は2020年よりシェムリアップでスマートシティ推進に携わる日本工営株式会社（本社：東京都千代田区）がアプリの開発・試験運用を行っている。日本工営はスマートシティ開発や鉄道事業など建設に関わるスケールの大きい事業を長年にわたり展開しているが、Cambodia Ride は同社の中で新規事業開発を専門的に行うインキュベーション推進室がその中心的な役割を担っている。最後に同室の大塚幸司室長に Cambodia Ride を通じて目指すところを聞いてみた。

「シェムリアップでは、世界遺産アンコール遺跡群の固定化された観光ルートの提供がされ続けてきたことで、観光客のリピーターの低さや遠方の静かな遺跡の観光、新たな観光資源へのアクセス方法に順応できる交通手段がないことが課題となっています。これらの背景から開発されたのがCambodia Ride です。

Cambodia Ride は、観光客の移動に関する安全・安心や利便性を改善することはもちろん、シェムリアップにおける環境改善や就業機会の提供、人材育成、観光地全体のスマート化および周辺地域全体の持続的な成長も目指しています。いずれ他のモビリティやさまざまな観光事業者のデジタルサービスとデータ連携し、局地的なオーバーツーリズムの抑制、カーボンニュートラル目標達成に資するさまざまな仕掛けをすることで、持続的で豊かな観光地づくりに貢献したいと思っています。

そのためにも、まずは『シェムリアップなら Cambodia Ride があるよね』、と観光客の皆様に愛されるレベルに早くもっていくべく、サービスの質や内容を充実させていきます。少し話はそれますが、当社・日本工営の創業者久保田豊は、1950年代に日本人技師として初めてカンボジアの復旧や国づくりに本気で取り組んだ人物です。この創業者精神は私たちにも受け継がれています。カンボジア・シェムリアップの観光事業に本気で取り組んでいきます」

新しい “足” 「Cambodia Ride」は、観光客の安全と利便性を高め、さらにはシェムリアップのコミュニティの発展を支える使命を持つサービスとして今後要注目だ。