パラスポーツinカンボジア㉑日本製競技用車いすを作製
パラスポーツinカンボジア㉑日本製競技用車いすを作製
2023.01.06

カンボジア生活情報誌NyoNyum 101号から連載している、カンボジアで長年、障がい者スポーツ(パラスポーツ)の普及活動を行なっている団体、ハート・オブ・ゴールドの米山遥香(よねやま・はるか)さんが普及活動の様子を紹介するコラム「Para-Sports in Cambodia!」をNyoNyum WEBでも公開します。

第21回目の今回は、「日本製競技用車いすを作製」です。

 

ハート・オブ・ゴールドとは


1996年12月に開催されたアンコールワット国際ハーフマラソンに関わった人々により、「スポーツを通じて国境、人種、ハンディキャップを超えて希望と勇気の共有を実現」することを目指し、1998年 10月10日にNGOとして発足。

2001年3月には岡山県よりNPO法人認定を、2012年には岡山市から認定 NPO法人となり現在に至る。

被災地や紛争地および開発途上国の子どもた達、障害者、貧困者層の人々に対して、スポーツや教育、そのほかの活動を通じて自立につながる事業を行い、苦境 に立ち向かう人々や子ども達が人生にchallengeするための「希望と勇気」を持つことができる機会創造に寄与することを目的としている。

特に、途上国の人々が自分たちの抱える問題を自らの力で解決していけることを目指し、彼らの視点に立って、彼らとともに人材育成に力を注いでいく。
※HEARTS of GOLD公式WEBサイトより

パラスポーツとは


障がい者スポーツの世界大会として、1960年のローマオリンピックから行われていたが、「パラリンピック」という正式名称が使われ始めたのは1988年のソウルオリンピックから。

日本は1964年の東京大会から、カンボジアは2000年のシドニー大会から参加している。

最近、障がい者スポーツのことを”パラスポーツ”という名称で呼ばれることが多く、最近では日本国内でも様々なパラスポーツの大会が行われることが多い。

 

日本製競技用車いすを作製

株式会社OX エンジニアリング本社前にて

カンボジアは雨が少なくなり、徐々に乾期に差し掛かっていると感じる今日この頃です。

11月初旬、カンボジアパラ陸上車いす選手5名が株式会社OX エンジニアリング様にて競技用車いす(レーサー)作製のための採寸で、来日しました。また、日ごろよりカンボジアパラスポーツをサポートしているフン・セン首相の三男であるフン・マニー氏、教育・青年・スポーツ省ソク・サバイナー事務次官補も帯同しました。OX エンジニアリングでは、細かな採寸を行い、ひとりひとりに合った車いすを作製しています。カンボジアの選手は今まで中古のレーサーを使用しており、自分たちで修理しながらボロボロになってもまた修理して、使い続けていました。

8月にインドネシアで行われた第11回ASEAN Para Games ではカンボジアパラチームが大変良い結果を残したということもあり、カンボジアでの第12回大会に向けて、もっと選手が活躍できるように、もっとメダルを獲得できるように、と今回フン・マニー氏、ソク・サバイナー氏のサポートのもとレーサーの購入が実現しました。

採寸の様子

また、いつもカンボジア陸上チームをサポートしてくださっているグロップサンセリテWORLD-ACの松永仁志選手兼監督も駆けつけてくれ、様々なアドバイスをしてくださいました。選手がとてもワクワクしながら採寸に臨んでいる様子がとても印象的でした。新しいレーサーを手にしたら、来年のASEAN Para Gamesでは最大限の力を発揮してもらいたいです。

また11月は、車いす選手2名が大分国際車いすマラソンに招待されており、カンボジアではナショナルゲーム・ナショナルパラゲームが開催されました。来年のSEA Games、ASEAN Para Games に向けて、スポーツ界はとても熱気に溢れています。

(この記事は2022年12月に発行されたNyoNuym122号に掲載されたものを再掲しています。文中の情報は当時の情報です。)

 

この記事を書いた人:米山遥香


カンボジア在住8年目。大学時代、健康スポーツについて学ぶ傍ら、カンボジアを支援する学生団体でボランティア活動を行い「将来カンボジアでスポーツ開発に関わる仕事がしたい」と思っていたところ、NPO ハート・オブ・ゴールドに出会う。卒業後にカンボジアへ渡り、同団体で2年間インターンとして活動し、3年目から職員に。

これまでの記事

・第1回:ハート・オブ・ゴールドがカンボジアでパラスポーツ支援を始めたきっかけ

・第2回:カンボジアパラ陸上競技会と プノンペン補習授業校の社会科見学

・第3回:注目のパラ陸上選手を紹介!

・第4回:アンコールワット国際ハーフマラソンへ向けて&結果報告

・第5回:第10回ASEAN Para Games へ向けて

・第6回:陸上クリニックと絆フェスティバル

・第7回:カンボジア国内のコロナ禍でのパラスポーツの活動自粛と再開

・第8回:日本のパラリンピアンとの絆

・第9回:カンボジアパラリンピックデー

・第10回:コロナ禍でも前進

・第11回:クラウドファンディングに挑戦!

・第12回:ロックダウン下でのトレーニング

・第13回:いざ東京パラリンピックへ!

・第14回:東京パラリンピックで歴史的快挙!!

・第15回:第26回アンコールワット国際ハーフマラソンの開催決定!

・第16回:新スタジアム(MORODOK TECHO NATIONAL STADIUM)の完成とアンコールワット国際ハ ーフマラソン

・第17回:バッタンバン州にてパラ陸上選手選考会を実施

・第18回:第4回カンボジアパラ陸上競技会を開催!

・第19回:第11回ASEAN Para Games(インドネシア)へ!

・第20回:第11 回ASEAN Para Games(インドネシア)を終えて

・第21回:日本製競技用車いすを作製

 

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