教師の職について現役の先生が語る
教師の職について現役の先生が語る
2024.09.13

1990年代、教員の数は不足していた。だが、政治も治安も不安定な状況の中であっても、村の子供の教育のために頑張ってきた教員がたくさんいた。そんな時代を生きてきた地方に暮らしているベテランの教員が語ったエピソードをご紹介したい。

パオ先生(左)

チェン・パオ先生(55)は、元々ベトナム語を専門とする教師であったが、現在は英語の教員として教鞭をとっている。教師として約30年の経験があるパオ先生だが、幼い頃から教師になりたいという情熱があったという。1989年に中学校卒業試験に受かってから、夢であった教師になるためにプノンペン王立大学の入学試験を受けるためにプレイヴェイン州からプノンペンに上京しました。お陰様でその試験に合格でき、ベトナム語を専攻しました。当時は、プノンペン王立大学で2年間学び、1992年になると専門言語を強化するために大学の枠でベトナムのホーチミンで1年間の留学をしました。1993年には帰国して自分の故郷の学校で教師になりました。」

パオ先生はプレイヴェイン州のダムレイ・プオン村のダムレイ・ポオン中学校で現在は英語を教えている。元々はベトナム語の専門をしていたものの、大学卒業後に学校で担当した科目は地理学と地球学という、畑違いの教科だったという。「大学を卒業した当時は故郷の学校ではベトナム語の科目がなかったため、地理学のクラスを担当させられていました。数年後には学校に地球学を教える教員がいなかったため、つまり1997年から1998年にかけて、私は地球学の教師になるための教員養成コースを受けました。さらに、2010年になると、ベトナム語の需要がないまま、その代わりに英語の教員の需要があったため、大学時代に学んでいた英語を改めて勉強し、英語の教員になるための教養コースを取り、現在の職に至ったのです。」

学校のイベントに出たパオ先生(左から4番目)

 点々と教える科目を替えていったパオ先生によると、当時の学校には教師が不足しており、畑違いの科目を教えることは自分と同世代の教師なら誰でも体験したことがあるという。カンボジアでは1990年代に、「より多くのことを知っている人がより知らない人に教える」というモットーが教育界で揚げられていました。だが、教育の在り方が大いに進歩してきた現在では、昔のように一人の教員が2つか3つの科目を担当することはなくなり、専攻科目を担当する教員がきちんと定まっているという。「時代と共に新しい世代の若者は我々と違う能力を持ち、教師としての専門性も才能も優れています。」

教職とは収入がそこそこもらえる職業で、昔から多くのクメール人がこの教師という職を大切にしているという。「当時は教員としての自分の給料は月に7万、8万リエル(約20ドル)でした。だが、今は教員の給料が大分変わり、月に約200万リエル(500ドル)をもらっていますが、昔と比べて現在は物価の上昇と共に養う子供の数も増えているので、教員の給料だけで豊かな生活はしづらいです。ですが、昔も今も学校の教員に頭を下げてくれる村の親が多くいます。」

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