灯篭飾りの意味解説
灯篭飾りの意味解説
2024.01.24

水による自然の恵みを祈るために行われた灯篭流し。水祭りの鑑賞物として誰でも楽しみにしているこの灯篭流しの飾りを政府機関の各省庁が施した。祭りの最初日から最終日までの3日間、王宮前の河で各省庁が飾り付けた壮大且つ優雅な灯篭流しの船が、王宮前から日本カンボジア友好橋への区間を往来した。国営テレビなどで全国にも中継されたこの灯篭流しは、人々の心を魅了した。各省庁が造った灯篭流しの意味をご紹介します!

 

政府の灯篭飾り

カンボジア王国政府のロゴマークを元に色とりどりのライトで装飾されている政府の灯篭飾り船。

船の下部には二匹のナーガの絵と王国政府というクメールの文字が装飾され、上部にはカンボジア政府のロゴマークがある。金色を基調とした楕円形の政府のロゴマークは、クメール人が誇りに思うアンコール王朝時代から現在に至るまでの豊かな天然資源を表しているという。

ロゴマークの中央にはドークチャンという花の模様があり、その両脇に2本の稲穂が水牛の角のように曲がっており、これはクメールの人口の約90%が農民である農業国家を象徴し、国家全体の経済と発展に積極的に貢献していることを示している。

そして、稲穂の上部には国の行政府を表す台座の上に刀があり、国の三権力の中の一つである行政権を象徴し、法執行機関のトップとしてカンボジア王国が法治国家であることを表している。

刀の上部には、輝かしい君主制を象徴する玉座と王冠があり、クメールの国家と国民が歴代にわたり拠り所としてきた王制と平和を象徴している。王冠には15本の光線のマークがあり、世界に誇り高いアンコール王朝時代の文明と繁栄を象徴して8方向に輝きく様子が描かれている。

現政府は、サムダッチ・モハ・ボヴォーティパディ・フン・マネット首相の指導の下、経済・財政、行政、司法と軍隊という4つの分野を中心に貧困削減を目指して国家改革を実施している。この政府のロゴマークは、2001年2月5日付の国王令 NS/RKOT/02/2010/30に従って使用が開始された。

政府のロゴマークは、政府機関での建物に装飾されたり、政府の役人の制服や、内閣府の公式ヘッドレターに利用されている。

 

司法省の灯篭飾り

上の写真は司法省FBページから

正義とカンボジア王国の司法を象徴する法務省の灯篭飾り船。カンボジア王国政府は、サムデッチ・アケァ・モハ・セナ・パディ・テチョ・フン・セン首相の賢明なリーダーシップの下、司法省において法律の制定と司法制度を徹底的な改革を行ってきた。長方形でキラキラ輝く司法省の灯篭飾りには以下の意味がある。

1. 黄金の剣:鋭い先端があり、中央部に逆さまにおかれ、「意図的、罪悪感、欺瞞、妄想」という4つの偏見を除いた、法的かつ公正な判断を象徴している。

2. 銀の盾:六角形の銀色でを基調にした盾は、正義、合法性、民主主義、公安と社会秩序の保護を象徴し、国民の公共財産、権利、自由と正当な利益を保証している。「盾」は、国連憲章、世界人権宣言、およびカンボジア王国憲法が定めた人権、女性の権利、子どもの権利に関する条約や協定に謳われている人権保護の象徴でもある。

3. 金の天秤は、犯罪に対する思慮、被害者の正義追求、現行法に従った加害者の処罰を象徴している。

4.法典:両脇に位置し、古代からクメール人が動物の皮などに記した法的文書が巻いてあるものを表している。

 

国防省の灯篭飾り

川に浮かび水を撒き散らすナーガばデザインされた国防省の船。ナーガは海軍を代表し、クメールの陸軍との強い団結を反映し、カンボジア王国の海の堺や諸島、陸海の領土の一体性を守る上で重要な役割を果たしている。

川に浮くナーガは水の存在の重要性を象徴している。クメールの庶民の生計を確保する上で、河川・海上の物流や軍隊を増強するために欠かせないものである。

二匹のナーガの中央部には、両腕で「国防」というクメールの文字を持ち上げる勇敢なハヌマーン(神話の中でサルの将軍)の絵が描かれている。ハヌマーンはカンボジア王国の領土を守る陸軍を象徴し、王国の治安と社会秩序の保護に貢献する憲兵隊を表す。

「国防」のクメール文字の両側には鳥の翼があり、カンボジア王国の空域を保護する責を負う空軍を表している。そして、鳥の翼に付いている円盤はあらゆる軍隊の戦車、砲兵、防空、指揮官、工兵などの技術部隊の軍隊を表している。そして、「国防」という言葉の最上部には、カンボジア王国の陸、海、空の独立と主権国家の領土保全を司る国防省のロゴマークが掲げられている。

 

内務省の灯篭飾り

内務省のシンボルはヴィシュヌ神の像である。国家のモットーである「国家、宗教、国王」への敬意と忠誠を示す3つの旗 (国旗、宗教旗、王旗) が付いている。4本の腕を持つヴィシュヌ神は玉座に座り、ほら貝と本、円盤と棒という4つの持ち物を持っている。

ヴィシュヌ神は善良な存在を代表し、全世界を保護し構築する神である。王冠の光線は内務省の知恵、知性を表し、本は、内務省の任務を遂行する際に適用する法律と規制を表している。

ほら貝は、繁栄や平和、栄光、幸福を表す。

光線は内務省の任務遂行時の勇気を表す。

玉座は地方自治体、国家警察を表す。

ヴィシュヌ神の両側にある花の飾り模様はクメール人の文明と文化の繁栄を表す。

ナーガはヴィシュヌ神の化身であり、水、土、火、空の4つの要素を守る偉大な力を持つ動物である。

2匹のナーガが絡み合うことは、古代から存在してきたクメール民族の文化と文明が繁栄する上で欠かせない国民の団結と国家統一を象徴している。

 

教育・青少年・スポーツ省の灯篭飾り

上の写真は教育・青少年・スポーツ省から

国の経済的、社会的、文化的発展と地域的および世界的発展の欲求に応えて、教育・青少年・スポーツ省は、現政府が実施している五角形戦略という国の総合的な開発計画の第一段階の要素として、すべてのクメール人が公平かつ質の良い教育の環境を得、生涯学習の機会を創出し、国の人材を育成する使命を持っている。

この意味をおいて、教育・青少年・スポーツ省の灯篭飾りは、本省のロゴマークを置き、活気に満ちた生き生きとした装飾を伴い、それが全ての国民が教育により思想やスキル、能力、正しい行動、心身の健康などを築き上げることを表している。笑顔の青少年や聖火を持つスポーツ選手の姿は、現教育・青少年・スポーツ省の主なミッションである教育改革を促進し、知恵と繁栄、活気に満ちた豊かな社会を創出することを表している。

優雅なナーガを土台に装飾された教育・青少年・スポーツ省の灯篭は、まるでカンボジア全国の平和を土台に、現政府が優先する国家政策や戦略、積極的な地域社会への参加、効率性とロールモデリング学校のリーダーシップと家族の幸福の温かさ、生涯学習活動のための理想的な環境、世代を超えた知識と経験の伝達、幼児の保護と発達、教育と教育的方向性や教育の技術的革新など、希望に溢れたカンボジアの青少年の潜在力を表しているという。

 

公共事業省の灯篭飾り

上の写真はプノンペン都庁のFBページから

国の行政改革と優れたガバナンスを担う公共事業省の灯篭飾りは、本省のロゴマークを中心に飾り付けられており、以下の意味がある。

公共事業省のロゴマークは、長さの4分の3の幅を持つ金色の楕円形であり、中央部にはアンコールワットの姿とプカーチャンという花の模様、その両側に曲がった水牛の角の形をした花の飾りがあり、それがカンボジア王国の公務員法に基づく国家管理下にある総ての公務員を表し、その上部には国家公務員の管理と育成を記載する総規則が書かれた書が台の上に置かれ、その上に25の光線が輝いく王冠が載せられ、国家統治を表しているという。

同省のロゴマークの下部には、5本の金色のロムドゥォルという国花の模様があり、それは現政権が重点を持つ国家総開発計画である五角形戦略に掲げる成長、職業、平等、効率と持続という5つのモットーを表し、カンボジアが2050年までに高所得国になる国家のビジョンを示している。

台座の下部には公共事業省の名が書かれ、その横にはヴィシュヌ神の化身である人獅子の彫刻が刻まれ、それがあらゆる障害を克服し国家と役人の利益を守っているという。

水両に浮かぶ勇敢な五頭のナーガの像は、平和と繁栄を象徴している。

 

プノンペン都庁の灯篭飾り

上の写真はプノンペン都庁のFBページから

高さ16メートルと長さ33メートルで設計されている。中央部にはワット・プノンの像が描かれ、左側には独立記念塔とテチョウ・サンテピァップという国立病院の像、右側には戦争記念塔と新国立競技場、高層ビル、高架橋など充実した公共インフラ設備を表す絵柄が描かれている。

ワット・プノンの像は、古代に誕生したプノンペンのおいたちを象徴し、プノンペン都の行政も意味している。ワット・プノンの頂上には仏塔と二匹のナーガの像があり、「国家、宗教、国王」をモットーとするクメール人が仏教を敬虔に信仰していることを象徴している。一方、ライオンの像は、プノンペンとカンボジアの領土を守る獣王を象徴している。仏塔の横と正面にある砂糖のヤシの木は、プノンペンの美しい自然環境の象徴であり、国内外のあらゆる観光客が楽しめる自然豊かな都市環境を表しているという。

シアヌーク元国王のお陰でカンボジアが1953年11月9日にフランス植民地から独立を果たした恩を示す独立記念塔の絵柄は、クメール人の自由と国家の独立を象徴している。一方の戦争記念碑は、1998年に「Win-Win」政策を掲げてクメールルージュの残党の統一に成功したフン・セン首相の業績とその内戦終息を記憶に刻むものである。現在はこの2つの歴史的建造物がプノンペンのシンボルとなっている。

テチョ・サンテピアプ国立病院の絵柄は、進歩した保健の現状を表し、特に新型コロナウイルス感染症から人々の命を救った象徴としての意味を持っている。新国立競技場や高層ビル、高架橋はインフラ整備や民間セクターの活動が盛んなプノンペン都の現状を表している。

プノンペン都庁の灯篭には「プノンペン」というクメール文字で飾り付をナーガの同体が支える構造となっており、それがプノンペンの永続的な強さと持続性を象徴しているという。

 

 

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