NyoNyum124号特集⑥:日本人有志によるサポートを胸に、 戦に挑む選手たち
NyoNyum124号特集⑥:日本人有志によるサポートを胸に、 戦に挑む選手たち
2023.04.29

今回は、いよいよ開催が迫ったSEA Games 2023についての特集をWebでも紹介します。

 

「開催迫る!SEA Games 2023 in Cambodia~奮闘するカンボジア人選手たちのトレーニング記録~

来たる5月にカンボジアでSEA Games(東南アジア競技大会)が初めて開催されることをご存知でしょうか。

準備に向けて政府が発足したSEA Games実 行 委 員 会(CAMSOC;Cambodian SEA Games Organizing Committee)を中心に、さまざまな準備がコツコツと進められています。

1959年の第1回大会から64年目となる2023年、カンボジア政府がようやく自力で開催を主催するに至りました。そして、史上初めて自国開催となったカンボジアの選手たちは、誇りを胸にトレーニングに取り組んでいます。

間近に迫った大会当日に向けて、コツコツと頑張っている選手やコーチ、支援団体の様子、そして SEA Gamesにまつわるあれこれをお届けします !

 

【これまでの記事】

 

日本人有志によるサポートを胸に、戦に挑む選手たち

SEA Games 2023に向けて、カンボジア政府は各競技の連盟を担当する大臣を割り振り、国家総出で選手の強化、大会準備を進めてきました。その一方で、外国のサポートを受けている競技や選手もあり、日本の有志もさまざまな形で選手育成を買って出ています。そんな、日本からのサポートを受ける選手たちをご紹介!

 

目標はメダル獲得!毎日のトレーニングの積み重ねは、必ず良い成果に結びつくと確信しています

プノンペン生まれの日系カンボジア人愛利花(Erika)さん(15)は、SEA Games 2023に出場する水泳選手。幼い頃から泳ぎが大好きで、2019年からは競泳選手として活躍しています。

 

ナショナルチームメンバー最年少で将来の期待も高い

SEA Games 2023の背泳ぎ代表選手として選ばれた愛利花さん。「文句は言わず努力するだけ」という言葉を口にした愛利花さんは、2019年から本格的に水泳の練習に励んできた。

「水泳のナショナルチームの一員になってから、さらにトレーニングを重ねています。SEA Gamesが始まるまでは、週に7日、早朝から夕方までトレーニングをしています」

学業と練習に励む日々

愛利花さんは現役の中学生。家族との約束である「勉学を疎かにすることなく水泳を全うする。自分の選んだ道は責任をもって全うする」日々を送っている。

平日は朝6時から7時まで学校のプールで練習し、午後5時から8時まで連盟コーチのもとでトレーニング。さらに2021年から、週末の朝7時半から11時まで専属の日本人コーチによるトレーニングを受けている。

それに加えて学校での勉強、家庭教師、夜のトレーニング後は学校の宿題と、1週間のスケジュールは勉強と水泳で埋め尽くされている。

夜のオリンピックプールで自主練に励む

SEA Games 2023 に出場できることに興奮しているという愛利花さん。在学している学校をはじめ、学校の水泳部コーチ、日本人の専属コーチ、そしてカンボジア水泳連盟や家族から多くの支援を受けていることに感謝をしている。

「ナショナルチームの一員に選ばれてから、学校はいろいろ配慮してくれています。ナショナルチームの中で私が最年少なので、連盟も面倒を見てくれます。また、愛利花サポートチームなるものも日本・カンボジアで存在し、全面的に応援してくれています」。

厳しい練習にも文句を言わず、自分が望む目標に向けてただひたすらに練習を続けている。

2021年にバッタンバンで行われた国体にも参加

SEA Games 2023への出場は、愛利花さんにとってASEANレベルの代表選手と競う大きなチャレンジになる。現在取り組んでいることについて次のように述べてくれた。「タイムを上げるためには両腕の力とともに両足の力を高めることも大事です。今は両足の力が増すためのトレーニングを行い、さらに体幹を鍛えられるよう頑張っています」

連盟コーチとのトレーニングのほかに、専属の日本人コーチの指導を受ける愛利花さん。日本のコーチからは、水泳中の技術トレーニングに重点を置いてアドバスを受けている。

「日本人コーチは、細かいところまで技術的な指導をしてくれます。たとえば、両腕の使い方を正しく修正してくれ、また水との抵抗を減らす体の正しい使い方など、とてもためになります」。

一方カンボジア人コーチからは、適切な食事のとり方や筋肉のマッサージ、体力の維持のし方、モチベーション向上などの指導を受けている。

日本にて足の強化練習を受ける

愛利花さんはまた、2022年の7月と12月にそれぞれ2週間、日本の愛知県春日井市にあるイトマンスイミングスクールのトレーニングプログラムに参加した。日本とカンボジアをまたいでトレーニングに取り組んでいる愛利花さん。

SEA Games 2023では全力を尽くして国のためにメダルを勝ち取りたい、そして次のパリ五輪出場資格獲得を目指したい、と語ってくれた。

コッコン州にて激励を受ける
ISPP学校からのバンコクでの試合、学校のコーチと
あどけないまだ15歳の愛利花さん

 

コーチインタビュー

チェン・ビロットさん(37)

元カンボジア代表水泳選手で 多くの国際大会に出場したほか、国内大会で多くのメダルを獲得しているビロットさんは、カンボジア水泳連盟のコーチとして5年の経験を持つ。現在のトレーニングについてはテクニックに重点を置いているという。

「これまでは、体力の使い方を多く訓練してきました。ここでいうテクニックとは、スタートと浮き上がりとターンの3つです。水泳の試合は、これら3つのポイントが勝敗を大きく左右します。0.1秒単位の違いにより、結果が決まるのです」

愛利花さんの状態についてビロットさんは、「スタートもゴールのタッチも良いです。日々の練習で体力もつけてきていますが、さらに努力が必要です」と分析する。

カンボジアの水泳選手全員への期待と同時に、愛利花さんのような若手選手が試合で決勝戦に進み、国のためにメダル獲得に競えるようになることを期待しているという。

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