ニョニュムスタッフのSEA GAMES2023ボランティア体験記
ニョニュムスタッフのSEA GAMES2023ボランティア体験記
2023.07.27

大盛況のうちに幕を閉じた、カンボジアが初めての主催国となった第32回SEA Games。ニョニュムスタッフの一人、チュンが初日から最終日まで13日間ボランティアとして参加しました。職場に復帰したボランティア体験の興奮冷めやらぬチュンの体験日記をご紹介します。

ニョニュムスタッフのチュンさん

2023年5月5日。それは、カンボジアで開催される東南アジア競技大会(SEA Games)の開幕日であり、私がボランティアとして活動する最初の日でもあった。私が担当となったのは、外国人記者のサポートと、情報省管轄のメディアチームのサポートだった。

初日は、朝8時半から情報省で誤報やフェイクニュースの疑いのある情報をインターネットで徹底的に調べるよう指示があった。チームで 1 時間ほどネットに流れる情報を見ていくと、あるタイのメディアから今大会で競技種目となった「クン・クメール」はタイの格闘技であるムエタイのコピーだ、という英語版の記事が見つかり、メンバーが早速管理部署に報告した。

また、今回のSEA Gamesにはメディアの入場が禁止されているという不確かなクメール語記事が出ていた。実際のところは、SEA Games委員会の規約に準じていればどこの国のメディアでも入場可能だが、出場国のメディアと記者が優先されるという特別な条件が設定されているというのが正しいものだった。

外国人の記者が集まるメインプレイスセンターの様子

午後になり、モロドック・テチョー国立競技場にあるメインプレスセンターから、各国記者のサポートが足りていないとの情報が来たため、私を含めた3人のボランティアが情報省から現地へ向かうことになった。自分のバイクで行きたかったが、各国の選手団や応援団、観戦者らみんなが国立競技場に移動していたため、交通渋滞を避けるべくバスを利用した方が良いと言われ、バスで移動することにした。

結局1時間ほど乗車した後、日本・カンボジア友好橋(チュロイチョンワ―橋)の手前の交差点で大渋滞にはまり、目的地まで2時間もかかってしまった。

国立競技場に到着し、私たちはメインプレスセンターへ向かった。そこには11ヶ国の記者たちが集まっており、パソコンでタイピングをしたり撮影した映像を見ている人たちがたくさんいた。

記者が作業できる場所を確保するため、私たちはテーブルや椅子を片付けたり、テーブルの上のゴミを処理した。これが終わると、部屋の隅に待機して、外国人記者の要望に応じて国立競技場の各会場や国際放送センターの場所などの案内をした。

記者がクメール料理を楽しんでいる様子

初日には SEA Games の開会式もある。19時頃、私たちボランティア3人も開幕式を見るためスタジ アムへ 向かった。有名歌手のパフォーマンスや、カンボジア文化と伝 統 あふ れる舞 台 演出、クメール王朝の歴史を表した華やかなパフォーマンスが鮮やかな照明に照らされ、満席となったスタジアムの観客全員を魅了した。

それを実感したのは私だけではないと思う。言葉で表現できないほど興奮したカンボジア人が全国にいたはずだ。今日のような光景は自分が今まで自国で見たことのないものだった。空一面に広がる色とりどりの花火とともに、創造性に富んだパフォーマンスの素晴らしさ、さらに最新のテクノロジーも使いこなして、本当に美しくかつ完璧な開会式だった。

豪華なステージパフォーマンスとライトアップで盛大に行われた5月5日の開会式

21時前に開会式が終わり、興奮に酔いしれながら外に出てバス停まで歩いた。だが、この後私は大変なことになった。帰宅するためのバスが見つからないのだ。恥かしい話だが私は今まで市内バスに乗ったことがなく、バスの乗り方がわからなかったのだ。たくさんのバスがバス停には並ぶが、目的地までのバスをどうやって見つけたらよいかわからない。バスの運転手に聞いて回っていたら、自分の乗ってきたバス番号と同じバスで帰らないといけないと言われた。乗ってきたバスの番号なんて覚えていない。

30分経ってもバスが見つからなかったので、私たち3人はトゥクトゥクで帰ることにした。だが、その時間帯に郊外の場所で、しかも帰宅する人で混雑している中トゥクトゥクも捕まえられず、困った私たちは徒歩で大通りまで出ることにした。夜遅い時間だったが、同じように帰る手段がないのか歩いている人がたくさんいた。約1時間歩いて23時頃になり、ようやくトゥクトゥクを捕まえることができた。帰宅したのは深夜0時前だった。

翌日から16日までは、毎日15時から19時までのシフトで国際放送センターで活動することになった。チームで、記者団にスタジアム内の試合会場の案内をしたり、国際放送センターの出入り口周辺の安全チェックをしたり、時には撮影中の記者団のための安全確認をしていた。12日には国立競技場で陸上競技
の決勝が終わると、閉会式の設営スタッフと式典担当の他のボランティアチームが忙しそうに出入りしていた。

情報省管轄のメディアチームのボランティアメンバーと担当者のセルフィ(チュンさんは一番右)

そして SEA Games の最終日の17日。閉会式がフン・セン首相出席のもとで開催された。その日、私のチーム(10人)から閉会式のパレードへの参加募集があり、誰もが参加したいと名乗り出た。私より年下のメンバーがほとんどだったので、私を含めて年長の3人は国際放送センターに残り、他のメンバーはパレードの練習に出ていった。そのパレードには約 1,200人のボランティアが参加したそうだ。

17時を過ぎた頃、閉会式のイベントが始まった。だが、オープニングコンサートが始まって間もなく激しい雨が降り始めた。このまま閉会式が滞りなく行われるのか心配だったが、しばらくして雨が止み、チームリーダーが居残り組の私たちの3人も閉会式のイベントに参加させてくれることになった !少し遅れての参加だったが、素晴らしいパフォーマンスが見られた。すべてのパフォーマンスの後、フン・セン首相の閉会の挨拶があり、私は人生で初めて首相を自分の目で見ることができ興奮した。

スタジアムが満席になった閉会式の観客の様子

首相の挨拶が終わると、「カンボジアの誇り」という新しい曲の演奏とパフォーマンスがあった。この曲のパフォーマンスとともに空を彩った鮮やかな花火がスタジアムの多くの観客を魅了し、カンボジアが SEA Games を開催し、無事閉幕できたことを誇りに思わせてくれた。

これで13日間の大会が終了したが、SEA Games の長い歴史の中で主催国となるのを待ち続けた国民の一人として、ボランティアで貢献できたことを光栄に感じた。

閉会式後に国際放送センターにボランティアの皆が戻り、お別れをした。13日間一緒に仕事ができたことで一体感や友情が育まれ、別れを告げたときは胸に熱いものがこみ上げ、名残惜しかった。

 

閉会式のボランティアによるパレート参加の様子

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